歯茎が腫れた!でも痛くない!神経を取らないで!
投稿日:2022年2月17日
カテゴリ:根管治療
ある患者さんが歯茎が腫れたという主訴で来院されました。
昔、詰め物の治療して、少ししみた時期はあったようですが、いつの間にか気にならなくなって治った歯が、数日前から歯の奥の歯茎が腫れてきた感じがするとのことでした。
歯茎、歯の神経の検査をおこない、レントゲンを撮影して確認したところ、歯の根の先に膿が溜まっていました。
このような場合は、歯の根の治療、根管治療という方法で治していきます。
根管治療
原因は、歯の内部で細菌が繁殖して感染していると言うことです。
昔の詰め物の治療の時に虫歯の取り残しがあったのか、磨きが甘くて再度詰め物の下から虫歯になったのかわかりませんが、細菌が増殖して悪さをしているのは間違いないです。
なので、詰め物を外して歯の内部を綺麗にして細菌の数を減らしていく必要があります。
歯の内部には全て硬いわけではなく、神経などの柔らかい組織(軟組織)が通る空洞があります。
そこに細菌が入ると根の先の方まで進行して、根の先に膿を貯めることになります。
なので、歯の上部の虫歯を削りとるのと、歯の根の中を綺麗に洗浄していきます。
神経をとってしまうのか?
この行為は、神経をとると勘違いされがちです。
患者さんによっては、根の治療=歯の神経をとる
と、思っている人もいますが、そうではありません。
歯の神経は、細菌によって攻撃されると、死んでしまって腐敗してしまいます。ドロドロになったり、乾燥してミイラのようにカラカラになってしまうことがあります。
そのような状態を歯科医学的には神経とは言わず、根管内容物と言います。
以前は神経であったけど現在は腐ったなにかと言うことです。
なので、神経を取らないでくださいと患者さんが希望されても、もう神経は死んで存在しないですよ。と言うことになります。
ただ、歯の根本から神経の再生を促す歯髄再生療法などはありますので、それを神経の復活と言うことはできるかもしれませんが、現在腐敗した神経(根管内容物)を取らないで治す方法や根管内容物を生きた神経に復活させる方法は、私は知りません。
痛くないけど、神経の検査で反応がなく、歯茎も腫れていて、レントゲンでも膿を溜めている歯は根管治療が第一選択の治療です。
先程の患者さんの詰め物を外したところです。
歯の周りがなくなっているので、補強して、ラバーダム防湿を行います。ラバーダム防湿については過去のブログにあります。
治療する歯だけ見える状態にして、根の治療を始めていきます。
まだこの状態は、歯の根の空洞まで見えていません。
神経の入っていた空洞まで辿り着きました。
ドロドロの根管内容物が見えています。
しっかりとした神経であれば、出血が見られたり、神経が綺麗に満たされているのですが、診査の結果どおり、根管の内部は腐敗した根管内容物で汚染されています。
少しづつ綺麗にしていきます。
根の中に2つ穴が空いています。
これは、神経の入っている空洞から根の先の方まで繋がっている管の入り口の部分です。ここから根の先まで細く続いています。
だいぶ綺麗になりました。
根の穴の入り口がはっきりわかるようになりました。
ドロドロの内容物も目に見える範囲では少なくなりました。
もう少し、内部を器具を使ったり、洗浄液を使用して清潔な状態にしていきます。
次回の治療では、この綺麗になった空洞を封鎖して細菌が再侵入しないようにしていきます。
歯をなるべく長持ちさせたい
虫歯の治療は、神経を取らない方がいいです。
神経が残っている歯の方が歯は長持ちするのはさまざまな論文でも言われています。
しかし、歯の神経が腐敗して根管内容物になっているのに、神経を取ってはいけないと!と盲信して違う治療なのにこのまま放置してしまうと、内部で腐敗が進み、逆にその歯を抜歯することに繋がってしまいます。
痛くないから神経が戻るかもしれないし、そのまま様子を見る、と言うのも危険な行為なのです。
しっかりと歯茎、神経の検査、レントゲンで確認して神経が腐敗しているのがわかっているのであれば、根管治療をしっかり行い、歯を少しでも長持ちできるように治療を行うことが大切です。
根管治療でお困りの方、神経を残す治療についてご相談のある方で調布市の歯科医院をお探しの方は柳沢歯科医院にご連絡ください。
■ 他の記事を読む■