くすんだ被せ物を外してみたら
投稿日:2022年1月26日
カテゴリ:根管治療
「20年近く問題なかったんですがここ数年奥歯がよく疼くんです。少し期間置くと落ち着くので大丈夫かと思っているのですが、一応心配だから確認して欲しい」
こんな患者さんがいらっしゃいました。
マイクロスコープで撮影した写真です。
銀歯がすり減ってくすんでいます。
症状、レントゲンなどの情報からの診査で根管治療の必要があると判断し、被せ物を外していきました。
根管治療
根管治療とは、虫歯が大きくなり神経を取る治療や、根の先に膿が溜まったときに行う治療です。
細菌が歯の内部に住み着いて炎症が起こっているので、可能な限り歯の中を綺麗にしていくことで炎症をひかせていきます。
被せ物を外したところです。被せ物の中には金属の土台(支柱)が入っています。
これも外していきます。
被せ物、土台を外したところです。
歯の内部がかなり汚れているのがわかります。これは金属の被せ物、土台に隙間があってそこに汚れが溜まり、細菌が侵入したか、内部に虫歯が残っていて細菌が繁殖したと考えられます。この汚れを徹底的に除去していきます。根管治療を始める上で大事なことは虫歯の徹底的な除去です。これを徹底している医院が少ないと思います。当院では染め出し液を使用して、健康な部分はしっかり保存して、虫歯の部分を選択的にそして取り残しがないように何度も確認して行います。
根の治療を行なっていてよく感じるのは、根の先に膿が溜まった時、実はその歯が痛くない時期がかなり長いということです。確かに、強い痛みが出るケースもありますが、少しの痛み、腫れが一時的に生じるだけだったり、全く痛みを感じないこともあります。しかし、今回のように放置して問題ない違和感だったのに内部はかなり汚れていて、大きく削らないといけないという状況であったり、場合によっては、全く症状ないのに急に被せ物が取れて虫歯があまりに大きくて歯が残せない(抜歯)ということもよくあります。もっと前に定期検診で確認してもらい、治療に介入していれば少ない侵襲で歯を長持ちできたのに、本当に残念であると感じることが多々あります。
昔に治療してもらってから一度も問題ない
「20年問題なかった!」と言われることもあります。違います。20年かけてゆっくり悪くなっていたのです。20年たってボロボロになってから治療するより、もっと前に治療しておいた方が、さらに長持ちします。
歯科医師として伝えられること
患者さん自身が自分の歯に関心を持ち、もっと自分自身を大切にすることが必要だと感じています。しかし、そう感じる一方で、そもそも歯科医師の啓蒙活動が足らず、根管治療や虫歯について、神経を取ることのリスク、歯磨きの指導、などについて国民に知識を共有できていないことが問題であるとも感じています。我々歯科医の問題でもあるので、少しでも皆さんに歯の正しい知識を知ってもらい、削って治すではなくて、自分でしっかり歯を守れることを伝えるように記事を書き続けようと考えています。
もし根管治療でお悩みの方、虫歯のチェックなどで調布市の歯科医院をお探しの方はぜひ柳沢歯科医院にご連絡ください。
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