保険診療の根管治療と自由診療の根管治療
投稿日:2017年11月26日
カテゴリ:根管治療
今回のブログでは、可能な限り客観的に(でも、主観的な意見もどうしても入ってしまいますが・・・)、保険診療の根管治療と自由診療の根管治療の良い点、悪い点について説明したいと思います。
保険診療における根管治療
良い点「誰もが受けることのできる安価な費用」
虫歯が大きく、痛みが出たり、歯茎が腫れる・・・などの症状の場合に、根管治療が適応になる場合が多くありますが、日本には保険診療のシステムがあるため、誰でもリーズナブルに根管治療を受けることができます。多くの人がこのシステムに助けられています。
しかし、この安価な診療報酬故、みなさんの知らない多くの問題点があります。
悪い点①「時間をかけて治療することが困難」
まず、時間がかけられません。根管治療には、一回に1時間〜2時間という、長い時間が必要ではありますが、この時間を保険診療で行うと、歯科医院の経営は難しくなります。そのため、一回の治療時間を短くせざるを得ない現状にあります。
悪い点②「高性能な機材を使うことが困難」
また、精度の高い治療をするためには、マイクロスコープやニッケルチタンファイルなどの高性能な機材が必要になりますが、これらの機材を保険診療内で使うことは困難です。
悪い点③「精度の高いかぶせ物を装着することが困難」
根管治療した歯を長持ちさせるためには、精度の良いかぶせ物が必要ですが、かぶせ物を作成する技工士も保険診療の報酬で精度の高いかぶせ物を作ることは困難です。
保険診療のシステムは素晴らしいと思います。しかし、根管治療においては、非常に劣悪な環境と言わざるを得ません。報酬が低すぎます。海外と比較すると、その費用は1/10〜1/20です。中には、この保険診療内で精度の高い治療を赤字覚悟で行っている歯科医院もあります。しかし、このシステムでは、多くの歯科医院が時間をかけ、精度の高い治療をすることは、歯科医院の経営をするにあたり困難です。
ある書物には「高いレベルの良質な治療を提供するにあたり、日本の公的保険制度下での歯内療法(根管治療のこと)関連の保険点数がその対価として十分な点数であると思っている保険医はいないのではないであろうか」と記載されているのですが、まさにその通りなのです。
結果的に歯の健康を守れない
これらの現状が原因で、どのようなことが起こるのか?それは「保険診療内での根管治療の成功率の低下」です。わかりやすく言うと、「保険診療内での根管治療では、歯の健康を守れる確率が下がる」と言うことです。その他の先進国と比較しても、日本の根管治療の成功率は低いと言われています。
保険診療内では、多くの歯科医院が多くの患者さんの根管治療に力を入れることができず(これは強調しておきたいのですが、中には保険診療で精度の高い治療を行っている歯医者さんもあるのもまた、事実です。)、結果的に歯の健康を守りにくい状況にあるのです。
自由診療での根管治療
この状況を打破するためには、保険診療ではなく、自由診療で根管治療を行う必要があります。
自由診療の根管治療の費用
歯科医師の技術や、経験などにより変わりますが、当院では4万円〜10万円です。
費用が高額であるため、すべての患者さんが治療を受けることはできませんが、これにより、多くの時間を使い、高性能の機材を用いて、精度の高い根管治療を行うことができます。
結果的に、成功率、つまり、「歯の健康を守ることができる確率」を95%以上にすることができるのです。
まとめ
まずは、日本の保険診療における状況を多くの人に知ってほしいです。このことを知らずに、根管治療を受け、その治療した歯の調子が悪く、悩んでいる人が多く、当院でも、後を絶ちません。もしも、根管治療が必要になった場合には、確実な治療をできる歯科医院を探し、治療を受けることをおすすめします。
そして、自分の願いとしては、根管治療を受ける人の数が減ってほしい。予防ができるのに、予防を怠り、不必要な根管治療を受ける人が多すぎます。そして、保険診療の根管治療を受け、結果が悪く、苦しい思いをしている・・・これは、本当に避けてほしい。
でも、これは「安く根管治療がうけられてしまう現状」に大きな問題があるのだと思います。自由診療の根管治療がもっと普及すれば、そして、根管治療の保険診療の状況をもっと歯科医師が、そして国が広めれば、このようなことは予防できると自分は強く思います。
根管治療には、その対価に見合うだけの価値があります。もしも必要になれば、費用はかかるけれども、早い段階で確実な治療を受けてください。そして、根管治療が必要ないように、早い段階から、予防処置に力を入れてください。
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