頭蓋顔面劣成長症候群の症状 扁桃腺、アデノイドなどのリンパ組織の肥大とそれに伴う病巣感染
投稿日:2017年4月23日
カテゴリ:小児矯正
口の奥にあるリンパ組織とその役割
口の中のさらに奥には、扁桃腺やアデノイドなどのリンパ組織があります。これらのリンパ組織は、口や鼻から入ってくる細菌やウイルスをキャッチして、身体に入り込むのを防いでいます。
リンパ組織の肥大
しかし、あまりにも、細菌やウイルスが多く侵入すると、それらのリンパ組織は腫れて肥大してしまいます。これが、「扁桃腺肥大」や「アデノイドの肥大」と呼ばれる状態です。この状態は、身体の内部で起こっている「大きくはないが、持続的に起こり続けている炎症」であり、これを「慢性炎症」と呼びます。
リンパ組織の肥大により起こる事
空気の通り道の閉塞
これらのリンパ組織の肥大により、空気の通り道が狭くなるため、呼吸の効率が悪くなります。
病巣感染
病巣感染とは、身体のどこかに慢性炎症が持続的に起きていると、それが原因で、その部分とは離れたところに、病気ができる事です。具体的には、リンパ組織の慢性炎症により、腎臓に炎症が起きたり、アトピー性皮膚炎、リウマチが起きたりします。
リンパ組織の肥大の原因
これといって断言する事はできませんが、ひとつの大きな要因としてあげられるのが「口呼吸」です。口呼吸により、身体に多くの細菌が入り込もうとするため、扁桃腺やアデノイドが働きすぎてオーバーヒート状態になります。こうなると、リンパ組織は肥大し、慢性炎症が起きてしまうのです。
頭蓋顔面劣成長とリンパ組織の肥大の関係性
頭蓋顔面の劣成長も、リンパ組織の肥大も、口呼吸により起こるのです。そのため、リンパ組織の肥大が見られれば、頭蓋顔面劣成長である可能性があるのです。
リンパ組織の肥大と、それにより起こる病巣感染は頭蓋顔面劣成長症候群の症状に数えられるのです。
薬に頼っても治らない症状・・・その原因は口呼吸にあるのかも
鼻呼吸をしやすくするための「あいうべ体操」の考案者の今井一彰先生によると、薬でも治らない、原因のわからない病気で悩んでいる患者さんに鼻呼吸をしてもらったところ、その症状が、みるみるうちに改善されたとの報告が数多くあります。
小児に見られるそのような病気の代表例といえば、アトピー性皮膚炎でしょう。この病気も、もしかしたら、鼻呼吸を獲得することにより、改善するかもしれないのです。
当院の「小児矯正・頭蓋顔面科」では、不正咬合はもちろん、それを含めた「頭蓋顔面劣成長症候群の症状の改善と予防」を目的とし、全身に焦点を当てた治療を行っていきます。この治療で欠かせない大きなポイントのひとつが「鼻呼吸の獲得」です。これにより、扁桃腺やアデノイドなどのリンパ組織の肥大による病巣感染である「アトピー性皮膚炎」で悩んでいらっしゃるお子さんの、その症状が改善するかもしれません。
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