歯が割れてしまった。エクストルージョンで抜歯を免れました。
投稿日:2024年5月10日
カテゴリ:根管治療
ある患者さんが詰め物が取れたので治してほしいと来院されました。
詰め物が取れた場合、綺麗に取れていればそのまま洗浄して再度装着します。
虫歯になっていた場合は、虫歯を取り除き、新しい詰め物や、被せ物や根管治療へ移行することがあります。
この患者さんも通法通りに診察しました。
これが詰め物が取れた状態です。
大きな虫歯はないように見られますが、再度古い詰め物はつけられそうにないので、まずは古いセメントを取り除いて内部の状態を確認することになりました。
セメントを除去して綺麗にしていくと歯にヒビが入っていました。
これはマイクロスコープで拡大して記録しています。マイクロスコープの利点の一つは患者さんも細部をみることができるところです。
明らかにヒビが入っています。このヒビはかなり大きく、歯の一部が揺れている状態でした。
ヒビが入っている歯
基本的には大きなヒビが入っている歯の治療は、抜歯が第一選択になることが多いです。
この歯もほとんどの先生が抜歯を宣告するでしょう。
患者さんから見ても明らかに割れているのがわかるので、それも納得するでしょう。
しかし、今回のヒビのケースは経験上なんとか残せると判断し、ある処置をしました。
それはエクストルージョンです。
エクストルージョンは、歯を挺出する方法の一つです。
この方法によって歯茎より上部に健康な歯質を出すことで、被せ物を装着できるようにできます。
これが実際のエクストルージョンを行っている経過の写真です。
最初は低い位置にあった歯をゴムをかけて数週間放置すると、ゆっくり歯が出てきます。
矯正治療のワイヤーで歯を動かすのと同じと思っていただけるとわかりやすいです。
持ち上がる量をゴムの力、期間で調整するので、少し難しい治療ですが、昔から存在する治療法で、行わない先生も多いですが、一部の先生は頻繁に行っています。
今回は歯がスムーズに動いてくれたので、3週間ほどで装置を取り除きました。
今のところ、抜歯することなく、痛みも腫れもなく経過しているので患者さんも満足しています。
(エクストルージョンは全ての破折ケース対応しているわけではありません。むしろ、限られた一部の症例だけに対応しています。)
まとめ
破折や大きな虫歯で歯が残せないと言われた場合でも診断は一つではありません。ある先生の技術や考えでは抜歯でも他の先生では残せることもあるので、当院や歯を残す治療に特化した歯科医院を訪れるのがいいでしょう。
根管治療や歯の破折、抜歯を宣告されてお悩みの方で調布市の歯科医院をお探しの方は柳沢歯科医院にご連絡ください。
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