歯の根に穴が空いて抜歯と言われた歯を残すことができました。
投稿日:2023年8月21日
カテゴリ:根管治療
根管治療中の歯で抜歯が必要になる状態には何種類かあります。
そもそも根管治療が必要な場合は、歯の内部が汚れて細菌が繁殖している状態です。
内部の汚れをかき出して、洗浄液で綺麗に洗い、清潔な材料で封鎖して土台を立てて被せ物をすることで以前と同じように噛むことができるようになります。
しかし、歯の内部の汚れが著しい場合、ほとんど歯がなくなってしまっている、歯に穴が空いている、歯にヒビが入っている場合などは内部の汚れを取りきれないので、歯ごと汚れを取る方法、つまり抜歯をすることで細菌を取り除くことになります。
しかし、この重症な状態の中の歯に穴が空いているケースは、まだ抜かないで歯を治せる可能性があります。
歯の状態にもよりますし、全ての穴が空いているケースが治るわけではありませんが、穴をセメント(MTAセメント、スーパーボンド等)で緊密に封鎖することで治ることがあります。
歯に穴が空いた場合の治療症例を載せます。
以前、ある患者さんが他院で歯に穴が空いているので治らないから抜歯した方がいいと言われて、当院へ歯を残せないかと尋ねてきました。
患者さんは痛みと腫れもあり、「なるべく抜かないで治療をしてほしいけど、少し諦めています。」と少し憔悴しているような感じもありました。
これが最初に来た時に撮影したレントゲン写真です。
根が二つ見えますが、その股の部分の白い丸を見ると黒くなっているのがわかります。これは歯に穴が空いて黒くなっています。(今回は歯に穴が空いていましたが、他の原因で黒くなることもあります)
根の先の白い丸の付近が少し黒くなっています。根の先に炎症が考えられます。
白い矢印の部分の根の歯科の材料が根の先まで入っていません。
リスクがあることを説明し根管治療を行いました。
古い充填材のところまで土台を削って外しました。
二つ古い充填材が見えます。これを取り除いて、根の内部を綺麗にしてから再度新しい充填材を詰めます。
古い材料を取り除こうとしたら穴が空いていて出血してきました。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)で見ているので、どこから出血していて、穴がどれくらいの大きさかなどが正確にわかります。
まだ一般の歯科治療では肉眼で行う先生が多いですが、肉眼では根の内部は見れないので感覚でしか治療ができません。穴が空いているケースは感覚ではできないので抜歯になってしまいます。
古い材料を徹底的に取り除き、洗浄液でよく洗い綺麗にしたところで、今回はMTAセメントで封鎖しました。
治療後すぐに痛みと腫れが消えました。
数ヶ月後のレントゲンになりますが。黒い影が全て消えています。
根の先も股の部分もしっかりと骨ができています。
実際治療してみるとこの歯の根には3箇所穴が空いていいて、残すのはかなり難しいと感じましたが、現在2年ほど経ちましたが、全く問題なく、食事が取れているようです。
一時的な痛みの除去ではなく、しっかりと長期に歯を残すことがとても重要だと感じています。
歯に穴が空いてしまったり、根の治療でお困りの方で調布市の歯科医院をお探しの方は柳沢歯科医院にご連絡ください。
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