歯の痛み? 実は筋肉の痛みでした
投稿日:2020年9月14日
カテゴリ:根管治療
痛みの除去は歯科の本質ではありません
歯の痛みで歯医者に行くのは普通です。しかし、歯科医師は、歯の痛みに対してアプローチしている訳ではありません。
では、何をしているのか・
答えは
1、歯にこびり付いた汚れ、感染を取り除いている
2、咬合力(咬む力)をコントロールしている
この二つに対して処置をしています。つまり、痛みではありません。この二つが原因である痛みは、その原因を取り除くことで対応できますが、それ以外以外はできません。
つまり、「痛みの除去」は歯科治療の本質ではありません。
この本質ではない「痛み」に患者さんもそうですが、歯科医師も振り回されているように感じます。振り回されてしまっているため、時には、患者さんに不必要な治療が行われてしまうこともあります。今回は、そんな1ケースを提示します。
右上の痛みを主訴で来院された患者さん
患者さんは30歳代の女性でした。右上の痛みで、右上奥歯2本を他院で根管治療したが、痛みが引かないとのことで来院されました。
診査の結果、歯に特に異常は見られませんでした。
レントゲン写真です。奥歯2本が根管治療をされているのがわかります。痛みの原因は何か?と考えた時に、私が行ったことは、咬む筋肉を触ることでした。触ると、患者さん、激痛です。
私が、患者さんにしたアドバイスは、風呂に入って咬む筋肉のマッサージでした。次回、患者さんの痛みはなくなっていました。つまり、痛みの原因は「筋肉の痛み」だったのです。確定はできませんが、前医が痛みに振り回され、誤診をして、取らなくても良い神経を取ってしまった可能性があります。
恐ろしいですね。
この後、この2本の根管治療を行いました。これは痛みとは関係ありませんが、感染のコントロールとしては、必要なことです。
まとめ
このように、痛みに振り回され、行き過ぎた治療を行われてしまうこともあります。
もちろん、痛みを取り除くことは大切ですし、痛みから患者さんを解放してあげたいのは、当然です。しかし、根管治療は痛みに対して行うものではありません。あくまで、感染の除去です。
本質ではありませんが、もし患者さんが痛みで苦しんでいるようであれば、その痛みがなぜ起きているのか、きちんと診断することが大切です。
根管治療は、後戻りのできない不可逆的な治療です。この治療が本当に必要なのか、よく診断し、患者さんへの対応をすることがとても大切です。
柳沢歯科医院
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