複雑な形態の根管の再根管治療

投稿日:2017年6月27日

カテゴリ:根管治療

左下7の樋状根の症例

左下の第二大臼歯の根尖性歯周炎により歯茎が腫れている症例で、根管治療が必要になったケースです。

術前のレントゲン写真です。根の先から右側にかけて黒い透過像があるのがわかります。炎症で歯の根を支える骨が溶けてしまっている証拠です。

歯茎が腫れています。

前回の治療では、補綴物とカリエスを取り除き、隔壁を作るところまで行いました。

 

今日は根管内へのアプローチ 難しい樋状根

ラバーダムにて無菌的な環境を作り、根管内をきれいにします。

根管の形はアルファベットの「C」の形をしている樋状根でした。内部を見ると、なにやら右の根管に白いものが・・・

超音波チップにてこの白い物体に振動を与えます。すると茶色い汚れが・・・

きれいにすると、ワタが入っています。これが綿栓根充ですね。良くないです。

これをニッケルチタンファイルで絡みとります。

もう一方の根管へもアプローチ。ニッケルチタンファイルでガッタパーチャポイントを砕きます。

超音波チップで振動を与えて取り除きます。

すると、イスムスと呼ばれる細い部分にガッタパーチャが入り込んでしまいました。

この細い部分にも振動を与え、汚れと一緒にガッタパーチャを取り除きます。

さらに根の奥のガッタパーチャを取り除きます。

さらに根の先の方のガッタパーチャを取っていると、根の先から、膿と血が混ざった体液が出てきました。炎症が強い証拠です。

最終的にきれいになった根管の内部です。

この後、レントゲン写真を用いて根の長さを測定しました。測定後、根の内部をニッケルチタンファイルで拡大し、良く洗います。その後、水酸化カルシウムを根の内部に敷きつめ、仮封をして、今日の治療は終了しました。

実際の動画を提示致します。

 

まとめ

今回の患者さんは、他院で「歯茎が腫れたら抗生物質を飲むように」と言われたそうですが、絶対に治りません。根本的な、原因は根管の内部の汚れなので、これを取らない限り治りません。

また、樋状根の根管が感染してしまうと、その内部から汚れを取り除くのは至難の技です。感染しないうちに根管治療を行うことが望ましですが、もし感染してしまた場合には、マイクロスコープを用いた根管治療が必須になります。この複雑な根管から感染を取り除くには、マイクロスコープがなければ、難しいでしょう。そして、それを駆使した技術が必要です。

もし、下顎の一番奥の歯が感染してしまった場合には、樋状根の可能性があるため、マイクロスコープを用いた根管治療がオススメです。

柳沢歯科医院