左上6のMTAセメントを用いた根管治療

投稿日:2017年6月25日

カテゴリ:根管治療

今日の根管治療のケースは右上6の再根管治療です。他院からの紹介でいらっしゃった患者さんですが、歯茎に腫れがあり、打診にも反応があり、歯周ポケットは正常の範囲内であったため、根尖性歯周炎と診断し、根管治療を行いました。

これが術前のレントゲン写真です。

 

歯の内部に通常見られない穴が空いていた

クラウンコアを外すと、なんと変なところに通常は見られない穴が空いています。この穴をパーフォレーションと呼びますが、これは、以前に治療をした先生が開けてしまった穴です。この穴の周囲やその他の根の内部をきれいした後、根管充填とパーフォレーションしている部分に専用の材料を埋めます。今回のケースは、ともにMTAセメントを用いて行いました。

これは根管充填前の歯の内部の写真です。左下の穴が遠心根管ですが、その右上にも穴があります。これがパーフォレーションです。この部分も含めて、MTAセメントで封鎖します。

まずは、近心根管から埋めました。

続いて、遠心根管とパーフォレーションのリペアをします。

続いて口蓋根管です。

これらをマイクロスコープを用いて拡大して行います。

これが処置が完了した時点でも写真です。きれいに充填できています。きれいに治療ができることは、その治療がうまくいっていることが多いと感じています。

術後のレントゲン写真です。

口蓋根からMTAセメントが出ていますが、あまり大きな問題はありません。そのほかの根管とパーフォレーション部分もレントゲン上ですが、きれいに充填できているようです。

実際の治療の動画を提示致します。

今回のケースでは、術前に見られた歯茎の腫れも引き、打診への反応もなくなりました。

今後の経過を見ていかないと判断できませんが、成功した症例といって良いと思います。

 

まとめ

今回のケースでのポイントは「パーフォレーション」であり、その部分をMTAセメントで埋めることでしたが、このパーフォレーションは、以前に治療した先生が、開けてはいけない部分に開けてしまった穴です。以前では、このパーフォレーションが歯の寿命を縮める致命的なミスでしたが、今日では、MTAセメントの出現により、このパーフォレーションは怖いものではなくなりました。

マイクロスコープを用いてパーフォレーションを確実に見つけ、そして、MTAセメントにてその部分を埋める。この治療が抜歯に瀕した歯を救うのです。

柳沢歯科医院