根管治療において大切なこと 隔壁
根管治療の必要な歯は量が少なくなっている
根管治療の必要な歯は、虫歯や以前の治療で歯の量が少なくなっています。特に、四方の壁のどこかはなくなっていることが多いです。
これは四方の歯質が残っている歯に穴を開けたところの写真です。
これは根管治療が必要になった歯の虫歯を取りきった状態の写真です。右側の歯の部分がなくなっているのがわかると思います。
これは、再根管治療が必要になった歯です。ほぼ全周歯がない状態です。
このように、根管治療が必要になる歯は、四方のどこかの部分がなくなっていることが多いのです。
四方の歯の部分がなくなり困ること
歯の内部に汚れが入りやすい
四方の歯の壁がないことで、歯の内部に汚れが入りやすいです。
ラバーダムができない
根管治療に必須であるラバーダムができません。ラバーダムクランプと呼ばせる金具がかからないのです。
このように、歯の四方の壁がないと、根管治療をする上で困ることが多くあるのです。
なくなった部分に人工の壁を作る これが「隔壁」です
歯のなくなった部分に、コンポジットレジンで人工的な壁を作ります。これが隔壁です。
この隔壁を作った症例を提示致します。
歯に歯肉が触れないよう、歯の周りに糸を巻きます。歯の表面に歯肉が触れると、濡れてしまいます。濡れた面にコンポジットレジンはつかないので、表面の乾燥がとても大切です。
糸を巻き終わったあと、歯肉から出血しました。これも、コンポジットレジンの接着の精度を落とすので、止血する必要があります。
止血剤を含めた綿球で止血をします。
歯の表面の乾燥を保てる状態になりました。この状態になって初めてコンポジットレジンは歯に接着します。
歯の表面処理を行っています。
青色のコンポジットレジンを歯にもっています。
形を整え、完成した隔壁です。この隔壁は、最終的な土台となるコアの一部として使うため、この時点でのコンポジットレジンの接着精度が、この歯の寿命に大きな影響を与えます。
この一連の流れを、マイクロスコープを用いて、精密に行います。
このように、人工の壁を作り、歯の内部に汚れが入らないようの状態を作り出し、根管治療を行っていきます。
まとめ
この操作をしている時が、患者さんが一番辛い時なのですが、この行程をきちんと行うかどうかが、根管治療の成功への大切なキーポイントです。精度の高い隔壁を作り、歯の内部に汚れが入りづらく、また、ラバーダムをできる状況を人工的に作り出すことにより、根管治療の成功率を格段に高めることができるのです。
柳沢歯科医院
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