頭蓋顔面劣成長症候群の症状 慢性呼吸性アルカローシス
投稿日:2017年4月25日
カテゴリ:小児矯正
慢性呼吸性アルカローシスとは?
アルカローシスとは、血液のpHがアルカリ性に傾くことです。このアルカローシスには、様々な要因が挙げられますが、そのひとつとしてあげられるのが慢性的な口呼吸です。慢性的に口呼吸をしていると、身体から必要量の二酸化炭素が抜けてしまいます。呼吸は、必要な酸素を取り入れ、必要ない二酸化炭素を吐き出すイメージがあるとは思いますが、実は二酸化炭素は身体にとって、とても大切な役割を担っているのです。そのひとつが、血中pHの調整です。体内の二酸化炭素の量が少なくなると、血中のpHはアルカリ性に傾いてしまいます。
慢性的な口呼吸により、身体から二酸化炭素が多く吐き出され、量が少なくなると、血中のpHがアルカリ性に傾く。この状態を「慢性呼吸性アルカローシス」と自分は呼んでいます。
では、慢性呼吸性アルカローシスにより、身体にどんな不具合が起きるのでしょうか?
慢性呼吸性アルカローシスにより起こり得ること
ヘモグロビン酸素解離障害
酸素は、身体中の細胞の栄養源ですが、この酸素を身体中に運ぶのが、赤血球の中にあるヘモグロビンです。このヘモグロビンは、血中にある水素イオンを取り込むことにより、酸素を放出し、細胞に栄養源を送っています。しかし、水素イオンが少なくなると、ヘモグロビンから酸素が離れにくくなってしまいます。酸素がヘモグロビンから離れるには、水素イオンが必要なのです。この水素イオンが少なくなる状態がアルカローシスです。つまり、慢性呼吸性アルカローシスになると、ヘモグロビンから酸素が離れにくくなってしまうのです。これが「ヘモグロビン酸素解離障害」です。
この状態が続くと、身体中の細胞に酸素が行き渡らなくなり、脳をはじめとする身体は元気を失います。
平滑筋の収縮
平滑筋とは血管や気道を構成する筋肉ですが、この平滑筋、血中の二酸化炭素が少なくなり、水素イオンが少なくなると、収縮する傾向にあるのです。血管が収縮することにより、高血圧などの循環器障害、そして、気道収縮により、気管支喘息が起こります。
つまり、慢性呼吸性アルカローシスにより、平滑筋の収縮が起こった結果、高血圧や脳梗塞、心筋梗塞などの循環器障害や、気管支喘息などの呼吸器系の障害も起こるリスクが高まってしまうのです。
頭蓋顔面劣成長症候群と慢性呼吸性アルカローシスの関係性
頭蓋顔面劣成長を引き起こす口呼吸が原因で、身体から二酸化炭素が少なくなっていきます。その結果、血中のpHが上がります。つまり、頭蓋顔面劣成長であるということは、慢性呼吸性アルカローシスになっている可能性が高いのです。
当院での治療でこれらの病気の改善と予防ができるかも
当院の「小児矯正・頭蓋顔面科」では、頭蓋顔面劣成長症候群の治療として、「鼻呼吸の獲得」が最重要ポイントのひとつです。この鼻呼吸により、身体の二酸化炭素の量を増やし、慢性呼吸性アルカローシスによる全身のリスクを回避することができるかもしれません。
お子さんに気管支喘息のある方、もしかするとお子さんは頭蓋顔面劣成長症候群かもしれません。そして、そのサインが歯並びに現れているかもしれません。お子さんにそのような兆候があれば、その子には、やがて大人になった時に、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な循環器障害のリスクがあるかもしれません。
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